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メタディスクリプション: 介護職で腰痛がつらく「辞めたい」と考えている方へ。我慢して働き続けるリスクや、労災認定の基準、休職・退職時のポイントを解説します。身体への負担が少ない働き方も紹介。自分の身体を守るための選択肢を確認しましょう。
毎日の移乗介助、入浴介助、中腰でのオムツ交換……。介護の現場は腰への負担が大きく、「朝、布団から起き上がるのが怖い」「コルセットをきつく巻かないと仕事にならない」という状態で働いている方も多いのではないでしょうか。
腰痛が悪化し、痛み止めを飲みながら騙し騙し働いていると、「もう身体がもたない、辞めたい」と考えるのは当然のことです。しかし、衝動的に辞表を出す前に、一度立ち止まって確認してほしいことがあります。
実は、仕事が原因の腰痛であれば、治療費や休業中の給料が補償される「労災」の対象になる可能性があります。また、無理をして働き続けることで、将来的に日常生活さえ困難になるリスクもあります。
この記事では、腰痛に限界を感じている介護職員の方に向けて、辞める前に知っておくべき労災の知識や、身体を守るための具体的な選択肢について解説します。あなたの身体の代わりはいません。自分自身を守るための方法を一緒に見ていきましょう。
介護職にとって腰痛は「職業病」だが我慢は禁物
厚生労働省の統計を見ても、介護職員の業務上の怪我や病気の中で、腰痛は圧倒的に高い割合を占めています。多くの人が「介護職だから腰が痛いのは仕方がない」と思い込んでいますが、痛みを我慢して働き続けることは非常に危険です。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、一度重症化すると完治が難しく、手術が必要になったり、痺れなどの後遺症が残ったりするケースも少なくありません。
「辞めたい」と思うほどの痛みがあるなら、それはもう限界を超えている証拠です。これ以上無理を重ねる前に、現状を変えるための行動を起こす必要があります。
腰痛で限界!辞める前に確認すべき「労災」の知識
「腰痛で仕事を休む、あるいは辞める」と考えたとき、真っ先に確認してほしいのが「労働災害(労災)」の適用です。
「腰痛くらいで労災なんて大げさでは?」と思うかもしれませんが、業務が原因で発症・悪化した腰痛は立派な労働災害です。労災認定されれば、治療費の自己負担がなくなり、休業中も給付金が受け取れるため、安心して治療に専念できます。
介護職の腰痛が労災認定される基準
厚生労働省は「腰痛の労災認定」について基準を定めています。大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
1. 災害性の原因による腰痛
- 移乗介助中に利用者を支えようとして突発的に激痛が走った場合や、転倒しそうになった利用者を支えた際に腰を痛めた場合など。いわゆる「ぎっくり腰」も、業務中の突発的な出来事が原因であれば認定される可能性があります。
2. 災害性の原因によらない腰痛
- 日々の業務による長期間の負荷が原因で発症した場合。約3ヶ月以上、腰に著しい負担のかかる業務に従事していたことなどが要件となります。
労災を使うメリットと手続き
労災保険を使う最大のメリットは、金銭的な不安を減らせることです。
- 療養補償給付: 治療費が全額支給されます(自己負担ゼロ)。
- 休業補償給付: 休業4日目から、給料の約8割(特別支給金含む)が支給されます。
もし職場で「腰痛くらいで労災申請なんてするな」「健康保険を使ってくれ」と言われても、それは「労災隠し」という違法行為になる可能性があります。会社が手続きをしてくれない場合は、自分で労働基準監督署に申請することも可能です。
退職・休職・異動? 身体を守るための選択肢
腰痛が限界に達している場合、選択肢は「今の職場で我慢して働く」か「辞める」かの二択ではありません。状況に応じて、以下のような選択肢を検討してください。
1. 休職して治療に専念する
痛みが強く仕事ができない場合は、医師の診断書をもらい、休職制度を利用しましょう。労災が認められれば休業補償が受けられますし、労災認定されなくても、健康保険の「傷病手当金」を利用すれば、最長1年6ヶ月の間、給与の約3分の2が支給されます。まずは身体を治すことを最優先にしてください。
2. 負担の少ない部署への異動を願い出る
今の職場を辞めたくはないけれど、現場の介助が辛いという場合は、配置転換を相談してみましょう。
- 入浴介助のないフロアへの異動
- 相談員や事務職への職種変更
- 夜勤(少人数での対応)の免除
これらが叶わない、あるいは職場環境の改善(リフト導入や二人介助の徹底など)が見込めない場合は、退職を検討する段階です。
3. 身体への負担が少ない職場へ転職する
介護の仕事は好きだけど腰が辛い、という方は、身体介助が少ない職場への転職がおすすめです。
- デイサービス: 自立度の高い利用者が多く、夜勤がない場合が多い。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住): 施設によるが、見守りや生活支援がメインのところもある。
- 訪問介護(生活援助メイン): 掃除や調理などが中心で、重度な身体介助を行わない契約の仕事。
- ケアマネジャー: 資格が必要だが、デスクワークや調整業務が中心。
「腰痛で退職」を伝える際のポイント
腰痛を理由に退職を決意した場合、引き止めにあうことも予想されます。「人手不足なのに」「腰痛くらいで」と言われるかもしれませんが、毅然とした態度で伝えましょう。
円満に、かつ確実に退職するためのポイントは以下の通りです。
1. 医師の診断書を用意する
- 「ドクターストップがかかった」という事実は、最強の説得材料になります。「これ以上続けると歩けなくなる可能性があると言われました」と伝えれば、施設側も無理に引き止めることはできません。
2. 自分の身体を最優先にする
- 情に流されて「あと1ヶ月だけ」と引き延ばしている間に、腰の状態が決定的悪化を招くこともあります。
3. 退職届は早めに出す
- 就業規則を確認し、規定の期間(通常は1ヶ月前など)を守って退職届を提出しましょう。
まとめ:あなたの代わりはいても、あなたの身体の代わりはない
介護職にとって腰痛は身近な悩みですが、「辞めたい」と思うほどの痛みは異常事態です。それは決して「甘え」ではなく、身体が発している限界のサインです。
我慢して働き続けた結果、慢性的な腰痛に一生悩まされることになっては、元も子もありません。
- まずは医師の診察を受け、診断書をもらう。
- 業務が原因なら「労災」の申請を検討する。
- 休職制度や傷病手当金を使って、治療に専念する期間を作る。
- 身体介助の少ない職場や職種への転職を視野に入れる。
利用者の生活を支えることも大切ですが、まずはあなた自身の健康と生活を守ってください。健康な身体があってこそ、良い介護ができるのですから。