画像3枚目 │ 就労移行支援を辞めたいあなたへ|円満退所の伝え方・手続きから失業保険、再利用まで徹底解説

悩んでいる
Aさん

「今の就労移行支援、なんだか合わない…。辞めたいけど、スタッフになんて言えばいいんだろう?」

「もし辞めたら、その後の生活や就職活動はどうなるの?もう後がないのかな…」

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そのお気持ち、とてもよく分かります。自分に合った未来を探すために通い始めたはずなのに、人間関係やプログラム内容がストレスになって、心身ともに疲れてしまうことは決して珍しくありません。

勇気を出して退所を伝えても、強く引き止められてしまうケースもありますよね。でも、ご安心ください。就労移行支援を辞めることは、あなたの権利であり、決して「逃げ」や「失敗」ではありません。

この記事では、あなたが不要なトラブルを避け、円満に現在の事業所を退所し、自分に合った次の一歩を踏み出すために必要な情報を網羅的にまとめました。

  • なぜ事業所は引き止めようとするのか?
  • トラブルにならない円満な退所手続きの進め方
  • 【例文あり】引き止められにくい退所理由の上手な伝え方
  • どうしても辞めさせてくれない時の公的な相談先
  • 退所後の豊富な選択肢(別の事業所の再利用、失業保険の受給など)

この記事を最後まで読めば、退所への漠然とした不安が解消され、「辞めた後もたくさんの道があるんだ」と、自信を持って次のステップに進めるはずです。

就労移行支援を辞めるのは「悪いこと」じゃない!

まず、最も大切なことをお伝えします。就労移行支援を途中で辞めることは、決して悪いことでも、逃げることでもありません。

就労移行支援は、あくまであなたが自分らしい働き方を見つけるための「手段」の一つです。その手段が今のあなたに合わなくなったのなら、別の手段を探すのは当然の権利です。

  • 事業所の雰囲気やプログラムが合わない
  • スタッフや他の利用者との相性が良くない
  • 経済的な事情が変わり、通所が難しくなった
  • 体調が変化してしまった
  • もっと自分に合う事業所や学びたいことを見つけた

どのような理由であれ、あなたが「辞めたい」と決断したのなら、それは尊重されるべき「前向きな決断」です。罪悪感を抱く必要は一切ありません。

なぜ事業所は引き止めるの?知っておきたい2つの理由

とはいえ、強い引き止めにあって困っている方もいるでしょう。なぜ事業所は利用者を辞めさせたくないのでしょうか?主な理由は2つあります。

理由1:事業所の収入が減るから

就労移行支援事業所の運営費の大部分は、国や自治体からの「訓練等給付費」で賄われています。この給付費は、利用者の通所日数に応じて支払われる仕組みです。つまり、利用者が一人辞めてしまうと、その分事業所の収入が直接的に減少してしまいます。経営的な視点から、引き止めざるを得ないという事情があります。

理由2:利用者の将来を純粋に心配しているから

もちろん、全ての引き止めが悪意からではありません。スタッフが純粋にあなたの将来を心配し、「ここで諦めてほしくない」「もう少し続ければきっと良い方向に向かうはず」という善意から、熱心に説得してくる場合も多くあります。

どちらの理由であれ、最終的に決断するのはあなた自身です。相手の事情を冷静に理解しつつも、自分の意思をしっかりと伝えることが大切です。

トラブル回避!円満に退所するための4ステップ

感情的にならず、順序立てて進めることが円満退所の最大のコツです。以下の4つのステップで進めましょう。

STEP1:自分の意思を固め、辞めた後の計画を大まかに立てる

まず、なぜ辞めたいのか、辞めた後どうしたいのかを自分の中ではっきりとさせます。「なんとなく辞めたい…」という状態だと、スタッフの説得に流されてしまいがちです。「別の事業所を探したい」「一度休んで体調を整えたい」「失業保険をもらいながら仕事を探したい」など、自分の考えを整理し、「辞めます」とはっきり言える決意を持ちましょう。

STEP2:伝える内容(退所理由)を準備する

次の章で詳しく解説しますが、相手が反論しにくい客観的な事実に基づいた退所理由を準備しておきましょう。感情的な言葉は避け、冷静に事実を伝えることがポイントです。

STEP3:スタッフに「相談」ではなく「報告」として伝える

辞める意思を伝える際は、「辞めたいんですけど…」という相談口調ではなく、「〇月いっぱいで退所します」と決定事項として報告しましょう。これにより、相手に「説得の余地はない」という印象を与え、話がスムーズに進みやすくなります。

STEP4:必要な手続きを確認し、書類を提出する

退所の意思を伝えたら、具体的な手続きについて確認します。多くの事業所では「利用終了届」や「退所届」といった書類が用意されています。サインや捺印が必要な場合もあるので、指示に従って手続きを完了させましょう。基本的には、事業所側が市区町村への手続きを行ってくれるため、あなた自身が役所に行く必要はほとんどありません。

【例文あり】引き止められにくい!スマートな退所理由の伝え方

退所理由を正直に伝えすぎると、話がこじれてしまうこともあります。相手が反論しにくく、納得しやすい「客観的な事実」を元にした伝え方を心がけましょう。

ケース1:人間関係や事業所の雰囲気が合わない場合

  • NG例: 「〇〇さんが嫌いだから辞めます」「ここの雰囲気がどうしても合いません」
    • → 個人的な感情を理由にすると、「もう少し我慢しよう」「それはあなたの問題だ」と反論される隙を与えてしまいます。
  • OK例: 「集団での訓練がストレスになり、最近は夜も眠れず、体調に影響が出てきてしまいました。医師とも相談し、一度環境を変えて心身の回復を優先することにしましたので、退所します。」
    • 「体調」や「医師の判断」といった客観的な事実を理由にすることで、相手は引き止めにくくなります。

ケース2:プログラム内容に不満がある・意味ないと感じる場合

  • NG例: 「ここの訓練は私には意味ないと思います」
    • → 事業所の支援内容を直接的に否定すると、相手の感情を逆なでし、トラブルに発展しかねません。
  • OK例: 「こちらで基礎を学ばせていただいたおかげで、次に挑戦したいことが明確になりました。今後は〇〇(プログラミング、Webデザインなど)の分野に特化した学習に集中したいため、退所を決意しました。」
    • 事業所への感謝を示しつつ、ポジティブで前向きな理由を述べることで、相手も応援しやすくなります。

ケース3:経済的な理由の場合

  • NG例: 「お金がなくて通えません」
    • → 漠然と伝えると、「なんとかなる」「もう少し頑張ろう」と説得される可能性があります。
  • OK例: 「失業保険の給付期間が終了するため、〇月以降の通所が経済的に困難になりました。今後は収入を得ることを優先する必要があるため、退所させていただきます。」
    • 「失業保険の終了」という、誰にも動かせない具体的な事実を伝えるのが非常に効果的です。

どうしても辞めさせてくれない時の「最終手段」

もし、明確に退所の意思を伝えても、不当な引き止めにあって話が進まない場合は、一人で抱え込まずに外部の公的な機関に相談しましょう。

  1. 市区町村の障害福祉課(担当窓口) まずは、あなたの障害福祉サービス受給者証を発行した市区町村の役所の担当窓口に相談しましょう。「事業所を辞めたいが、話が進まない」と伝えれば、担当者が事業所に指導・助言をしてくれる場合があります。
  2. 都道府県の運営適正化委員会 これは福祉サービスに関するトラブルを解決するための第三者機関です。市区町村の窓口に相談しても解決しない場合の、より強力な相談先となります。各都道府県の社会福祉協議会の中に設置されています。

一人で悩まず、これらの窓口に連絡すれば、必ずあなたの力になってくれます。

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【重要】辞めた後の選択肢はたくさんある!

「辞めたら、もう次はないかもしれない…」そんな不安を感じる必要はありません。あなたにはたくさんの選択肢があります。

選択肢1:別の就労移行支援事業所に移る(再利用も可能!)

「今の事業所は合わないけど、就職は目指したい」という場合、別の事業所に移るのが最もおすすめです。事業所によって雰囲気やプログラムは全く異なります。

  • Q. 2回目の利用はできますか?
    • A. はい、可能です。 就労移行支援の利用期間は原則として合計24ヶ月(2年)ですが、この期間内であれば、事業所を途中で辞めて、別の事業所に移って利用を再開することができます。
  • Q. 利用期間はリセットされますか?
    • A. 原則リセットされませんが、例外もあります。 基本的には、前の事業所での利用期間を含めて合計24ヶ月となります。しかし、一度就職した後に再度利用する場合や、市区町村が「リセットが必要」と判断した場合には、利用期間がリセットされて、改めて最大24ヶ月利用できるケースがあります。諦めずに市区町村の担当窓口に相談してみましょう。

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選択肢2:就労継続支援(A型・B型)を利用する

「すぐに一般企業で働くのはまだ不安」「まずは短い時間から働き始めたい」という場合は、就労継続支援が選択肢になります。

  • A型事業所: 雇用契約を結び、給料(最低賃金以上)をもらいながら働きます。安定した収入を得たい方向けです。
  • B型事業所: 雇用契約を結ばず、体調に合わせて自分のペースで作業を行い、「工賃」を得ます。まずは社会参加の場から始めたい方向けです。

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選択肢3:失業保険(雇用保険)を受給しながら求職活動する

就労移行支援を辞めた後、一定の条件を満たしていれば、ハローワークで手続きをすることで失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取ることができます。

注意点として、就労移行支援に通いながら失業保険を同時にもらうことは原則できません。失業保険は「いつでも就職できる状態にある人」が対象であり、就労移行支援の利用は「すぐに就職する準備段階」と見なされるためです。

しかし、就労移行支援を退所した後は、この制約はなくなります。 退所後にハローワークで求職の申し込みをすれば、受給資格がある方は失業保険を受け取りながら、自分のペースで仕事を探すことが可能です。経済的な基盤を確保しながら、次のステップに進むための有効な手段です。

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選択肢4:一度、福祉サービスから離れて休む

心身の疲労が激しい場合は、一度ゆっくり休むことも大切な選択です。自宅で療養したり、ハローワークの障害者相談窓口で情報収集をしたりしながら、焦らず自分のペースで次の道を考えましょう。


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まとめ:自分のための決断に、自信を持ってください。

就労移行支援を辞めることは、決してネガティブなことではありません。それは、あなたが自分の状況と真剣に向き合い、より良い未来のために下した「前向きな決断」です。

この記事のポイント

  • 辞めることはあなたの権利。罪悪感は不要です。
  • 退所を伝える時は「相談」ではなく「報告」の形で毅然と伝えましょう。
  • 理由は「体調」や「経済事情」など、客観的な事実を伝えるとスムーズです。
  • どうしても話が進まなければ、市区町村の障害福祉課に相談しましょう。
  • 辞めた後も、別の事業所への再利用、就労継続支援、失業保険の受給など、選択肢はたくさんあります。

この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出すための後押しになれば幸いです。あなたの新しいスタートを心から応援しています。