「最近、親のことがなんとなく心配…」
「もし介護が必要になったら、何から手をつけていいか全然わからない」
「専門用語が多くて、調べても混乱するばかり…」
大切な家族のことを考えたとき、こんな不安で胸がいっぱいになっていませんか?
介護の準備って、突然やってくることがほとんど。仕事や日々の生活に追われる中で、複雑な制度を一人で理解するのは本当に大変なことです。
でも、もう大丈夫。安心してください。
この記事は、そんなあなたのための「ステップ・バイ・ステップのガイド」です。単なる情報の羅列ではありません。大切な家族のために最適なサポートを見つけるまでの道のりを、一つひとつ丁寧に解説します。
この記事を読み終える頃には、頭の中のモヤモヤがすっきり晴れて、「なるほど、こうすればいいんだ!」と、次の一歩を安心して踏み出せるようになっているはずです。
一緒に、ゆっくりと進んでいきましょう。
まずは全体像をつかもう!在宅介護サービス早わかり比較表
たくさんのサービス名を一度に聞いても、混乱してしまいますよね。最初に、どんなサービスがあるのか、ざっくり全体像がわかる「地図」をお見せします! これを見れば、「うちの場合は、このあたりが関係ありそうだな」と見当がつきますよ。
サービス分類 | 主なサービス名 | サービス概要 | こんな方におすすめ | 費用の目安(1割負担) | メリット・デメリット |
訪問サービス | 訪問介護 | ヘルパーさんが自宅を訪問し、食事や入浴、家事などを手伝ってくれます。 | 日常的な家事や身体の介助が必要な方 | 身体介護(30分-1h): 約250円~400円 | 〇 住み慣れた家で過ごせる × 24時間対応ではない |
訪問看護 | 看護師さんが訪問し、主治医の指示のもとで医療的なケアをしてくれます。 | 自宅での医療的管理(点滴、床ずれケア等)が必要な方 | 30分未満: 約470円 | 〇 医療的ケアを自宅で受けられる × 緊急時の対応には限界がある | |
通所サービス | 通所介護 (デイサービス) | 日中に施設へ通い、食事・入浴やレクリエーションなどを受けられます。 | 日中の孤立を防ぎ、人と交流したい方。家族の介護負担を軽くしたい方。 | 要介護3(7-8h): 約850円/日 | 〇 社会的な交流が図れる × 集団生活が苦手な方には不向き |
通所リハビリ (デイケア) | 医療機関などに通い、理学療法士など専門家によるリハビリが受けられます。 | 身体機能の維持・回復を目指して、専門的なリハビリをしたい方。 | 要介護3(6-7h): 約900円/日 | 〇 専門的なリハビリを受けられる × レクリエーション要素は少なめ | |
短期宿泊 | 短期入所生活介護 (ショートステイ) | 短期間だけ施設に宿泊し、日常生活の介護や機能訓練を受けられます。 | 介護者の休息(リフレッシュ)や、冠婚葬祭などで一時的に家を空ける時。 | 要介護3(多床室): 約850円/日 | 〇 家族の負担を大幅に軽減できる × 予約が取りにくい場合がある |
複合型 | 小規模多機能型 居宅介護 | 「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を柔軟に組み合わせたサービスです。 | 状態に合わせて柔軟なサービスを利用したい方。なじみのスタッフからケアを受けたい方。 | 月額定額制(要介護度による) | 〇 柔軟性が非常に高い × 事業所と同じ市区町村に住んでいる人限定 |
その他 | 福祉用具貸与・購入 | 車いすや介護ベッドのレンタル、ポータブルトイレなどの購入費用が補助されます。 | 自宅での生活を安全・快適にするための用具が必要な方。 | レンタル: 自己負担1~3割 購入: 年間10万円まで補助 | 〇 身体状況に合わせて用具を選べる × 対象となる品目が決まっている |
住宅改修 | 手すりの設置や段差解消など、自宅の小規模なリフォーム費用が補助されます。 | 自宅で安全に暮らせるように、転倒などを予防したい方。 | 工事費用20万円まで補助 | 〇 少ない負担で家を安全にできる × 工事の前に申請が必要 |
サービス内容を深掘り!うちにはどれが合う?
全体像がわかったところで、次は各サービスの内容をもう少し詳しく見ていきましょう。「こんな時に使えるんだ!」という具体的なシーンを思い浮かべながら読んでみてくださいね。
🏡 プロが自宅に来てくれる「訪問サービス」
住み慣れた我が家でサポートを受けられるのが、訪問サービスの最大の魅力です。
訪問介護:一番身近な「ヘルパーさん」
介護の資格を持ったヘルパーさんがお家に来て、日常生活のお手伝いをしてくれます。
- 具体的なサービス内容:
- 身体介護: 食事、入浴、着替え、トイレの介助など、体に直接触れるサポート。
- 生活援助: 掃除、洗濯、買い物、食事の準備など、身の回りの家事のサポート。
- こんな方におすすめ:
- 一人で食事やお風呂に入るのが少し不安になってきた。
- 買い物や掃除など、日々の家事が負担になってきた。
- メリット・デメリット:
- 〇 いつもの生活リズムを崩さずにサポートを受けられる。
- × 家族のための家事(家族分の食事作りなど)はお願いできない。
訪問看護:自宅で安心の医療的ケア
看護師さんが自宅に来て、病気やケガがあっても家で安心して過ごせるようサポートしてくれます。
- 具体的なサービス内容:
- 血圧や体温などの健康チェック
- お薬の管理や指導
- 床ずれの予防や処置、点滴など主治医の指示に基づく医療処置
- こんな方におすすめ:
- 退院後も、自宅で医療的なケアが必要。
- 日々の健康状態に不安がある。
- メリット・デメリット:
- 〇 病院ではなく、住み慣れた家で療養できる安心感がある。
- × あくまで主治医の指示に基づくケアなので、医療行為全てができるわけではない。
☀️ 日中の居場所ができる「通所サービス」
日中に施設へ通うことで、生活にメリハリが生まれ、家族の負担も軽くなります。「デイサービス」という言葉が有名ですね。
デイサービス(通所介護):交流と楽しみの場
日帰りで施設に通い、食事や入浴、体操、趣味活動などを楽しめます。
- 具体的なサービス内容:
- 自宅と施設間の送迎
- 健康チェック、栄養バランスの取れた食事、広いお風呂での入浴
- 体操や趣味活動などのレクリエーション
- 他の利用者さんとのコミュニケーション
- こんな方におすすめ:
- 日中、一人で過ごすことが多く、話し相手がほしい。
- 体を動かす機会や、趣味を楽しめる場所がほしい。
- 家族が日中仕事などで不在になる。
- メリット・デメリット:
- 〇 引きこもりを防ぎ、心身の機能を維持しやすい。家族の介護負担が減る。
- × 大勢で過ごすのが苦手な方には、ストレスになる可能性もある。
デイケア(通所リハビリテーション):本格的なリハビリが中心
デイサービスと似ていますが、一番の違いは「リハビリ」がメインだということです。
- 具体的なサービス内容:
- 医師の指示に基づいた、理学療法士など専門家による本格的なリハビリ
- 食事や入浴などのサービス(施設による)
- こんな方におすすめ:
- 身体機能の維持・向上を目指して、しっかりリハビリに取り組みたい。
- 退院後、集中的なリハビリが必要。
- メリット・デメリット:
- 〇 専門家の指導のもと、効果的なリハビリが受けられる。
- × レクリエーションよりもリハビリが中心なので、楽しさを求める方には物足りないかも。
【ワンポイント】デイサービスとデイケア、どう違うの? 迷ったら、「目的」で考えてみてください!
- 人との交流や楽しみ、居場所づくりが目的なら → デイサービス
- 身体機能の回復や維持が目的なら → デイケア どちらも、見学や体験利用ができるところがほとんどなので、まずは雰囲気を確かめてみるのが一番ですよ。
お金の話をすっきり解決!費用の仕組みを完全理解しよう
「で、結局いくらかかるの?」というのが、一番気になるところですよね。介護保険の費用は少し独特な仕組みですが、ポイントさえ押さえれば大丈夫!
① 介護サービスの値段は「単位」で決まる
介護サービスの費用は「〇〇円」ではなく、「〇〇単位」と決められています。そして、この1単位あたりの値段が、住んでいる地域によって少しだけ違うんです(大体10円~11.4円くらい)。これが、同じサービスでも料金が少しずつ違う理由です。
② 自己負担は原則1割(所得によって2割・3割)
介護保険を使うと、かかった費用の原則1割を自己負担します。ただし、個人の所得に応じて、負担割合が2割または3割になる場合があります。これは、市町村から届く「介護保険負担割合証」に書いてあるので、確認してみてくださいね。
③ 最重要!要介護度で決まる「月々の上限額」
介護保険で使えるサービスの量には、要介護度ごとに**「区分支給限度額」という上限が決められています。「月にこの金額までは、1割(~3割)負担でサービスを使えますよ」というラインのことです。
これを超えてサービスを使うこともできますが、超えた分は全額自己負担になるので注意が必要です。下の表で、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
要介護度 | 支給限度額(単位/月) | 支給限度額(金額目安/月) | 自己負担額(1割の場合) |
要支援1 | 5,032単位 | 約 50,320円 | 約 5,032円 |
要支援2 | 10,531単位 | 約 105,310円 | 約 10,531円 |
要介護1 | 16,765単位 | 約 167,650円 | 約 16,765円 |
要介護2 | 19,705単位 | 約 197,050円 | 約 19,705円 |
要介護3 | 27,048単位 | 約 270,480円 | 約 27,048円 |
要介護4 | 30,938単位 | 約 309,380円 | 約 30,938円 |
要介護5 | 36,217単位 | 約 362,170円 | 約 36,217円 |
※1単位10円で計算した場合の目安です。出典:厚生労働省「介護報酬」
この上限額の範囲内で、どのサービスをどう組み合わせるか、後で紹介する「ケアマネージャー」さんと一緒に計画を立てていくことになります。
④ 知っておくと安心!負担を軽くする制度
もし月の自己負担額が高額になっても、上限を超えた分が払い戻される「高額介護サービス費制度」という仕組みがあります。所得によって上限額は異なりますが、こうしたセーフティーネットがあることも、ぜひ覚えておいてくださいね。
相談からサービス開始までの実践アクションプラン
「仕組みはわかったけど、じゃあ具体的にどう動けばいいの?」という方のために、ここからは実際のステップを解説します。この通りに進めれば大丈夫ですよ!
- Step 1. 最初の相談窓口「地域包括支援センター」へ 全てのスタートはここからです! 「地域包括支援センター」は、高齢者の暮らしを支える公的な相談窓口。介護の専門家が、無料で相談に乗ってくれます。まずは「お住まいの市区町村名 地域包括支援センター」で検索して、電話をかけてみましょう。「親のことでちょっと相談したいのですが…」でOKです。
- Step 2. 要介護認定の申請 介護保険サービスを利用するには、「介護が必要な状態である」という認定(要介護認定)を受ける必要があります。この申請手続きも、地域包括支援センターがサポートしてくれるので安心してください。
- Step 3. 介護の道しるべ「ケアマネージャー」を決める 認定が出ると、いよいよ介護のプラン作りが始まります。その計画を一緒に立ててくれるのが、「ケアマネージャー(介護支援専門員)」**さんです。複数の事業所の中から、自分で担当者を選ぶことができます。
- Step 4. ケアプランの作成 ケアマネージャーさんと一緒に、「どのサービスを、週に何回、どのくらいの時間利用するか」を具体的に決めていきます。これが**「ケアプラン」という、いわば「介護の計画書」です。本人や家族の希望をしっかり伝えましょう。
- Step 5. サービス事業者との契約と利用開始! ケアプランが決まったら、利用する各サービス事業者と契約を結び、いよいよサービスの利用がスタートします!
手続きが多くて大変そうに感じるかもしれませんが、各ステップでケアマネージャーさんが伴走してくれるので、一人で抱え込む必要は全くありませんよ。
最重要パートナー!「良いケアマネージャー」との付き合い方
在宅介護がうまくいくかどうかは、ケアマネージャーさんとの相性にかかっていると言っても過言ではありません。ケアマネさんは、単に手続きをする人ではなく、介護生活全体の司令塔であり、一番の相談相手になるからです。
だからこそ、納得できる人を選ぶことが本当に大切なんです。
🧐 良いケアマネージャーを見極めるチェックリスト
初めて会う時や相談する時に、こんな点をチェックしてみてください。
- ☐ 話をじっくり聞いてくれるか? こちらの悩みや希望を、急かさずに親身になって聞いてくれる姿勢は基本です。
- ☐ 複数の選択肢を提案してくれるか? 「このサービスしかありません」ではなく、メリット・デメリットを説明しながら、いくつかのプランを提案してくれると信頼できます。
- ☐ 連絡や対応はスピーディーか? 困った時にすぐに連絡が取れたり、フットワークが軽かったりする方は頼りになります。
- ☐ 専門知識や地域の情報に詳しいか? 介護保険の制度だけでなく、地域のサービス情報にも詳しいと、より良い提案が期待できます。
- ☐ 人として、なんとなく話しやすいか? 最終的には「相性」も大事。これから長く付き合っていくパートナーなので、あなたが「この人なら本音で話せる」と感じられるかどうかが重要です。
😥「この人、合わないかも…」と思ったら?変更は可能です!
もし担当のケアマネージャーさんと合わないと感じたら、遠慮なく変更することができます。これは利用者の正当な権利です。
「なんだか申し訳ない…」と感じるかもしれませんが、あなたと家族が安心してサービスを受けるためです。変更したい場合は、ケアマネージャーが所属する事業所の責任者か、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターに相談すれば、手続きを進めてくれます。
まとめ:不安な気持ちは、まず相談から
今回は、在宅介護サービスについて、全体像から具体的なアクションまで一通りお話ししてきました。最後に、今日のポイントを振り返ってみましょう。
- 在宅介護サービスには「訪問」「通所」「宿泊」「その他」のタイプがある。
- 費用には月々の上限額があり、その範囲内でサービスを組み合わせる。
- サービス選びや手続きは、一番の味方「ケアマネージャー」さんが伴走してくれる。
- 何から始めるか迷ったら、最初の相談窓口「地域包括支援センター」に電話してみる!
たくさんの情報があって、一度に全部を覚えるのは大変かもしれません。でも、「困った時に相談できる場所と人がいる」ということだけ、まずは覚えておいてください。
親のこと、家族のこと。少しでも気になったり、不安に思ったりしたら、それは大切なサインです。ぜひ、この記事をきっかけに、まずは「地域包括支援センター」に電話をかけてみるなど、小さな一歩を踏み出してみてください。
大丈夫、あなた一人じゃありません。きっと、力になってくれる人が見つかりますよ。