介護施設ガイド

有料老人ホームとは|介護付き・住宅型の違い、前払金と契約で確かめること

公開 2026-09-17 / Findcare 編集部

有料老人ホームは、高齢者が入居し、食事や介護などのサービスを受けながら暮らす住まいです。名前は同じでも、介護の受け方や費用の払い方はホームによって大きく違います。この記事では、制度のしくみと、契約の前に確かめたいことを順に説明します。

有料老人ホームの定義

老人福祉法では、次のようなサービスのどれか1つでも提供する高齢者の住まいを、有料老人ホームとしています。

  • 入浴・排せつ・食事の介護
  • 食事の提供
  • 洗濯・掃除などの家事
  • 健康管理

特別養護老人ホームなどの老人福祉施設や、認知症グループホームは含みません。

届出制のしくみ

有料老人ホームを始めるときは、事前に都道府県知事に届け出ることが法律で決まっています。指定都市・中核市では、市長が届出の窓口です。

届出は、許可や認可とは違います。書類がそろっていれば受理され、行政が「良いホーム」とお墨付きを与えるものではありません。また、届出をしていなくても、実際に上のサービスを提供していれば有料老人ホームとして扱われ、行政の指導の対象になります。

介護付き・住宅型・健康型の違い

国の指針では、有料老人ホームを次の類型に分けて表示することになっています。

類型介護の受け方
介護付き(一般型)介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受け、ホームの職員が介護を行う
介護付き(外部サービス利用型)ホームの職員が安否確認やケアプランの作成を行い、介護はホームが委託した事業所が行う
住宅型介護が必要になったら、入居者が自分で選んだ訪問介護などの在宅サービスを使う
健康型介護が必要になったら、契約を解除して退去する

「介護付き」と表示できるのは、特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームだけです。指定を受けていないホームは「介護付き」「ケア付き」と表示できません。広告やパンフレットでは、類型の表示を確かめてください。

住宅型で介護が必要になったら

住宅型のホームでは、介護は外部のサービスを自分で選んで使う形です。

  1. 居宅介護支援事業所のケアマネジャーに、ケアプランの作成を頼みます(ケアマネジャーの選び方と変え方
  2. ケアプランにそって、訪問介護・デイサービス・訪問看護などの事業所と契約します
  3. 介護保険の自己負担は、在宅でサービスを使う場合と同じ考え方で計算します(在宅介護の費用

国の指針では、ホームが特定の事業者のサービスに限ったり、誘導したりしないこと、入居者が希望する介護サービスの利用を妨げないことが求められています。同じ建物や系列の事業所を使うかどうかは、入居者が決めてかまいません。

なお、介護付きのホームでも、入居者が希望すれば、特定施設入居者生活介護のかわりに訪問介護などを使うことができます。

住まいの権利と、費用の払い方

重要事項説明書やパンフレットには、次のような項目が書かれています。

  • 居住の権利の形:利用権方式、建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式
  • 費用の払い方:全額前払い、一部前払い・一部月払い、月払い、いずれかを選べる方式
  • 介護職員の体制:入居者1.5人に対して1人以上、2人に1人以上、など

方式によって、住む権利の性質が違います。契約書で、どの方式かを確かめておきます。

前払金(入居一時金)のルール

入居のときにまとめて払うお金は、「入居一時金」「介護一時金」「協力金」「入会金」など、名前はいろいろです。法令では、名前にかかわらず、家賃やサービスの対価を前もって受け取るお金はすべて「前払金」として扱います。

受け取れるお金の範囲

  • ホームが受け取れるのは、家賃、敷金、介護などのサービスの対価だけです。権利金など、それ以外のお金は受け取れません
  • 国の指針では、敷金は家賃の6か月分までで、退去時には原状回復の費用を除いて全額返すこととされています
  • 国の指針では、介護保険の自己負担分を前払金で受け取るのは適当でないとされています
  • 前払金は、「1か月分の家賃やサービス費用 × 想定居住期間(月数)」に、想定居住期間を超えて住み続ける場合に備えた額を足す、という考え方で計算するのが基本です

計算の根拠と、保全措置

前払金を受け取るホームは、計算の根拠を書面で示すことと、返還に備えて保全措置をとることが、法律で義務づけられています。

保全措置は、銀行などの連帯保証、保証保険、信託、一定の法人との保全契約のどれかです。保全する金額は、「まだ償却されていない残りの期間の分」と「500万円」の低いほうの金額以上です。保全されるのはこの金額までなので、ホームが倒産したときに前払金の残りが全額戻るとは限りません。

入居後3か月以内の解除・死亡

入居から3か月以内に契約を解除したとき、または入居者が亡くなって契約が終わったときは、次のように返還されます。

  • 差し引けるのは、「家賃などの月額 ÷ 30 × 実際に住んでいた日数」だけです
  • 残りの前払金は返還されます

このルールは、契約に入れることが法律で義務づけられています。「短期解約特例」と呼ばれることがあります。

3か月を過ぎたあと

3か月を過ぎても、想定居住期間の途中で解除や死亡により契約が終わったときは、その日以降の期間の家賃などが日割りで返還されます。国の指針では、予告期間などを理由に返還の期間を実際より短くするような契約は、入居者の利益を不当に害するものとされています。

また国の指針では、入居できる日より前に契約を解除した場合は、受け取ったお金を全額返すこと、申込金(内金)は前払金の20%以内とすることとされています。

重要事項説明書と、情報の公表

有料老人ホームは、入居を希望する人に、サービスの内容などの情報を書面で示すことが法律で義務づけられています。国の指針では、決まった様式の「重要事項説明書」を作り、入居の相談があったときに渡すこと、契約の前に時間の余裕をもって説明することが求められています。

ホームは有料老人ホームの情報を都道府県知事に報告し、知事はそれを公表しなければならないことになっています。お住まいの都道府県(指定都市・中核市では市)のホームページで、ホームの一覧や重要事項説明書を公表しています。公表のしかたは自治体によって違い、国の「介護サービス情報公表システム」を使っている自治体もあります。

複数のホームを比べるときは、重要事項説明書を取り寄せて、同じ項目どうしを見比べると違いが分かりやすくなります。

サービス付き高齢者向け住宅との違い

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者住まい法にもとづく登録制度です。

有料老人ホームサービス付き高齢者向け住宅
根拠の法律老人福祉法高齢者住まい法
行政との関係都道府県知事への届出(義務)都道府県知事への登録(5年ごとに更新)
必ずあるサービス介護・食事・家事・健康管理のどれか安否などの状況把握と、生活相談
主な基準国の指針をもとに自治体が指導床面積は原則25㎡以上、バリアフリー、権利金を受け取らない など

国の指針では「サ高住には有料老人ホームに該当するものが多い」とされています。食事の提供などを行うサ高住は、有料老人ホームにもあたり、指導の対象になります。サ高住の中にも、特定施設入居者生活介護の指定を受け、職員が介護を行うところがあります。

2026年の法改正(登録制の創設)

2026年6月25日に公布された法律(社会福祉法等の一部を改正する法律)で、老人福祉法が改正され、有料老人ホームの登録制が作られました。主な内容は次のとおりです。

  • 一定の要介護状態などにある人を入居させて介護などを行うホームは、都道府県知事の登録を受けなければならない(5年ごとに更新)
  • 登録の基準には、書面による契約、都道府県の条例で定める設備・運営の基準などが含まれる
  • 誇大広告の禁止、契約の前の書面の交付と説明
  • 登録の対象にならないホームも、届出の内容が見直される

ただし、2026年9月時点では、この登録制はまだ施行されていません。施行は「公布から2年を超えない範囲で政令で定める日」とされ、具体的な施行日や登録の基準はまだ示されていません。いまは、これまでどおり届出制です。

居住費・食費の軽減は対象外

所得が低い方の居住費・食費を軽くする「負担限度額認定(補足給付)」は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、ショートステイなどが対象です。有料老人ホームは、介護付きも含めて対象外です。

介護保険の自己負担が高額になったときの「高額介護サービス費」は、有料老人ホームで使う介護保険サービスにも使えます。くわしくは「介護施設の費用」をご覧ください。

見学・契約の前に確かめること

見学のときの見方は「見学で見るところ」にまとめています。ここでは、有料老人ホームで特に確かめたい点を挙げます。

類型と介護

  • 介護付き(一般型・外部サービス利用型)、住宅型、健康型のどれか
  • 介護が重くなったとき、医療が必要になったときも住み続けられるか
  • 住み替えや退去を求められる条件は何か(契約書と重要事項説明書で確認)
  • 住宅型の場合、介護サービスの事業所を自分で選べるか
  • 夜間の職員の配置と、介護職員の体制(1.5人に1人以上など)

お金

  • 前払金の金額、想定居住期間、計算の根拠を書面でもらったか
  • 3か月以内の解除・死亡のときの返還額の計算が、契約書に書かれているか
  • 想定居住期間の途中で退去したときの返還額の計算例
  • 保全措置の方法(保証・保険・信託など)と、保全される金額
  • 毎月の費用の内訳(家賃、管理費、食費、介護保険の自己負担、おむつ代など)と、値上げのルール
  • 敷金の額と、退去時の原状回復の範囲

契約と書類

  • 重要事項説明書を、契約の前に受け取り、説明を受けたか
  • 居住の権利の形(利用権方式・賃貸借方式)
  • 都道府県・市のホームページで、届出の状況や重要事項説明書が公表されているか
  • 協力医療機関と、受診や入院のときの対応

迷ったときは、地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談できます(相談窓口)。ほかの施設との違いは「介護施設の種類と違い」で比べています。Findcare では、介護付き有料老人ホームを地域ごとに探せます。

参考にした資料

よくある質問

入居してすぐに退去することになったら、入居一時金は戻りますか。

入居から3か月以内に契約を解除したとき、または亡くなって契約が終わったときは、住んでいた日数分の家賃などを差し引いて、前払金が返還されます。これは老人福祉法で、契約に入れることが義務づけられています。3か月を過ぎても、前払金の計算のもとにした想定居住期間の途中であれば、残りの期間の分が返還されます。

住宅型有料老人ホームでも、介護は受けられますか。

受けられます。住宅型では、介護が必要になったら、入居者が自分で選んだ訪問介護やデイサービスなどを、在宅と同じように介護保険で使います。ホームが特定の事業者のサービスだけを使わせることは、国の指針で認められていません。

有料老人ホームでも、居住費や食費の負担限度額認定は使えますか。

使えません。居住費・食費の負担限度額認定(補足給付)の対象は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、ショートステイなどで、有料老人ホームは介護付きも含めて対象外です。

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